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品番がわからない場合


今後の方向性

今後の方向性
大地をつくるような地域デザインをしたい

最後に少しプライベートな話を聞かせてください。背が高いですが、身長はどの位あるのですか。

187cmです。

海外に出ても見劣りすることがなくて、羨ましいですね。メリットはありますか。

メリットはふたつあって、ひとつはなかなか危ない事件に合いません。うっかり怪しい裏道に迷い込むと、トラブルに巻き込まれることが多いと思いますけれど、僕はありません。あとは日本人で大きいということで忘れられません(笑)。デメリットでいうと、洋服がないことと、最近はなくなりましたけれど、たまに空間がスケールアウトします(笑)。

設計でということですか。それは面白いですね(笑)。

今はそんなことはありませんよ(笑)。ニコニコ動画の「ニコニコショップ/ Nico Nico shop」をやった時に笑い話があって、この時のテーマはデジタルの会社が運営する初めてリアルショップなので、あえて身体スケールをズラして、不思議の国のアリスみたいな空間体験をつくろうと考えていました。同じ四角だけれど歪んだジオメトリーだったり、同じ形の家具だけれど高さが違ったり、それらを組み合わせることでスケール感のズレた不思議の国のアリスをつくろうというコンセプトでやりました。その時に言われたのが「菅原さん、カウンターが高過ぎます」と(笑)。実際にはスケールアウトさせるということを意図的にしていたんですけれど背が高いのが原因だと思われた、そんな笑い話があります。

ニコニコショップ/ Nico Nico shop
(C)太田拓実

カウンターの高さは直していないのですか。

ショップ自体もうありません。僕がやると店は必ず繁盛するんですけれど、これだけは唯一ビルごとニコニコ動画さんが撤退してしまいましたので、なくなってしまいました。非常に残念です。

Jakob + Macfarlane以外で気になる現代建築はありますか。

スペインを拠点にしているRCR。物質感とヴォリューム感のバランスがすごく綺麗な建築家です。ガラスとか、黒鉄とか、黒皮とか、砂利とか。すごくシンプルな構成なんですけれど、強さとテクスチュア感というか、存在の在り方が魅力的なんです。

注目しているのですね。では趣味は建築なんて言わないでしょうね(笑)!

趣味はサーフィンをしたり、演劇を見に行ったり、ですね。

サーフィンはよく行くのですか。

季節が良くなれば結構行きますね。

日曜日に事務所には来ないのですね。

そのようにしています。やるとしてもせめて持って帰ってカフェでやったりします。

現在進行中の作品で発表してもいいものがあれば教えてください。

山中湖村でバスの待合所をやっています。街づくりプロジェクトの一貫なんですけれど、東大の景観研究室が学術的研究と街の骨格づくりで研究として入っていて、その下に建築、ランドスケープ、土木、交通計画の専門家が集められて、富士五胡のひとつである山中湖を開発しようとしています。消滅可能都市のひとつの人口6,000人程度の街で、公共交通はバスしかありません。かつ富士山に一番近いのに河口湖に観光客を全部取られてしまうんです。富士山というものを持っているんだから、もっと観光業の骨格をしっかりつくろうということで、おもてなしをするために公共交通であるバスの待合所を拠点として開発しながら、街の骨格、もしくは観光客と地元の人の出会いをつくろうというプロジェクトを、僕は建築の専門家という立場でやっています。

山中湖村のバス待合所
(C)株式会社EAU

特命の仕事ですか。

そうです。基本計画から関わっていて、今は所有権が民間事業者になって、実施設計も継続してやっています。あとは野尻湖で別荘をつくっています。2500m²の敷地に80m²の別荘を建てるというプロジェクトです。5種類の床によって様々な森との関係を用意して、その敷地の特性を増幅し、この土地をコンテンツ化する建物のあり方を考えています。木が鬱蒼と生えているところなんですけれど、自然と床の位置が変わることで、その森との間に色々な体験と生活ができるのではないかと。例えば土と繋がった土間のレベル、ちょっと上がった床のレベル、枝レベルまで上がった囲われたキッチンのレベル、もうちょっと上がると樹上に投げ出されたような場所、もうちょっと上がって屋根裏に行くと包み込まれた場所から森を見下ろす場所といった自然との関係、過ごし方を5種類の高さの床によってつくろうとしています。

野尻湖の別荘
(C)SUGAWARADAISUKE

そのふたつですか。

それから葛飾区で住宅をやっています。今は5人家族なんですけれど、子供が完全に独立する15年後位を見越して、地域のコミュニティ・カフェとしても使えるような住宅を提案してほしいというので、サイズはコンパクトですが、住まい手の方と地域にとっては重要なプロジェクトと思っています。それ以外だと、リノベーションや、耐震改修なども同時にやっています。

忙しいですね。では今後どのような建築をやってみたいと思いますか。

物語る風景に少し戻りますけれど、風景というか、大地をつくっていくようなプロジェクトをやりたいと思っています。建物自体が建っていく前の、その場所の地形や歴史ともっと関係をもつような大地のデザイン。生きるための大地、自由な大地、ある種の物語を感じてもらえるような風景のような大地。地域デザインに近いのかもしれません。そういう仕事をやってみたいですね。

ランドスケープ、エンバイロメント、ネイチュア、そういうもの全部を含めたものですね。今日はありがとうございました。

インタビュー風景


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