都市彷徨への誘い
都市彷徨への誘い
旅行好きでインドの都市がお気に入り
事務所の名前はどのように決めたのですか。
まず凝らないで一般的なものにしようと思ったので、普通に建築研究所にしようと思いました。設計事務所でなかったのは設計だけではなく、例えば都市についての調査研究などもしたいと考えたからです。
事務所の写真
事務所風景
京都に住んでどの位になりますか。
学生の時からなのでもう20年ですね。
魚谷さんと同じように、京都に住んでリノベーションをやっている建築家は他にもいると思いますか。
町家改修という意味で言うとたくさんいます。都市との関わりに意識的であるかどうかという意味では、あまりいないかもしれません。
すごくたくさんの仕事をしていて、京都のリノベーションの仕事の多くは魚谷さんのところにきているのではないかと思ってしまいました。
そんなことはありません。
仕事が忙しくて、プライベートな時間はあるのですか。
当たり前ですが、プライベートで一番楽しい時間は設計の案を考えている時ですね(笑)。
建築以外で趣味は。
旅行ですかね。
旅行ではやはり建築や都市を見るのですか。
学生の時にはひたすら建築や自然を見ていましたけれども、最近は暖かい地域に行ってビールを飲むとか(笑)。
余裕が出てきましたね(笑)。
でもやはり建築を見ます。
海外へ建築を見に行くことはありますか。
学生の時には毎年半年間位学校を休んで行っていたんですけれども、仕事を始めてからはあまり行けませんでした。最近、仕事で2か月に1回位シンガポールに行く機会があって、久しぶりに楽しいなと思いだしました。それでまた何かと理由をつけて少しずつ海外に行くようになりました。事務所のスタッフにあまりバレないように(笑)。
今までの都市彷徨で、印象に残っているものは。
それはいっぱいありますね。例えばダウラターバード、インドのアウランガバードの近くの城郭の遺跡なんですけれど、僕はそれがすごく好きで、それは遠くから見るとただの地形なんです。でも中に入るとそこには都市があったり、内部空間があったり、要塞があったり、迷宮があったりするんです。
ダウラターバード
ダウラターバード
ジョードプル
シャウエン
広州
広州
都市なのですか。
城郭都市です。要塞の中にちょっとした街があります。
その他にはどうですか。
僕は青が好きなので、ジョードプルの街とか、モロッコのシャウエン。インドのラジャスターン地方には金の都、青の都、ピンクの都、それから水の都があって、ジョードプルがブルー・シティで、ジャイプールがピンク・シティです。ジャイプールはグリッド都市でその構造もすごく魅力的です。
ジャンタル・マンタルがあるところですね。都市の面白いものが好きなのですね。
そうかもしれません。最近、広州に行ったんですけれども、そこの街区構造もよかったです。
広州は現代建築がすごいでしょう。
そのようですね。でも広州では現代建築はまったく見ていないんです(笑)。京都と同じように車の走る街路と街区により構成されているエリアがあるんですけれども、広州は建物の隙間が路地になっているのが面白いと思いました。京都とはまったく違うんです。京都はまず街路があって、街区の奥に行くために路地をひき、建物が建てられるんです。広州ではまず建物があって、その建物の隙間が路地になっているんです。
現代建築を見ることはないのですか。
現代建築も見ます。写真ではなく実際に見に行きます。また行きたくなるような建築がいいと思うし、そういう建築をつくっていきたいと思います。
今後やりたい建築のタイポロジーは。
まずは今あるそれぞれの仕事の中で常にやりたいことを実現させたいと思っているので、これからというのはあまりないですね。
リノベーションで公会堂のような公共施設とか。
リノベーションも楽しいですが、リノベーションが得意だとかそれを売りにしようとか、そういうようなことは考えていません。特定の個人との関係で考える住宅も刺激的ですが、不特定に開かれた公共性をもつ建築も設計していきたいと思います。
奥様は何をされている方なのですか。
事務所で一緒に設計をしています。布野研の先輩です。
そうでしたか!今日は建築の案内から始まってインタビューまで面白かったです。ありがとうごいました。
インタビュー風景
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