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品番がわからない場合


奥様のラブ・トーク

奥様のラブ・トーク
栄養士の奥様の趣味は「保坂猛」

ここからは奥様の保坂恵さんにも加わっていただいて、お話を伺いたいと思います。奥様が事務所を切り盛りしていると聞きました。

恵さん(以下M):コミュニケーション・マネージャーといいます。実はいろいろなところに出て行くので、どう名乗るのが相応しいか、最初はよくわからなかったんです。お施主さんとの打合せにも出て行きますし、企業の方ともお目にかかるし、インタビューのときにもご一緒させていただいたり、広報もやっていますし、現場にひとりで行かされたりすることもあるんです(笑)。とにかくいろいろな方と会ってお話をしますし、ときどき保坂が話すのが面倒になると代わりに話しておいてということもあって、そんなところから。私はいつも「趣味は保坂猛」と言っています(笑)。そういう意味では建築家保坂猛が私の趣味なので趣味の世界で頑張っています。

保坂猛氏(左)と保坂恵さん(右)

建築の出身ですか。

M:いいえ。私は栄養士でタンパク質を研究していました(笑)。特許も持っています。

おふたりで旅行をすることがあると思います。そのときにはやはり建築ツアーになるのでしょう。

そうです。

それで奥様はOKなのですか。

M:すごく楽しくて、建築家と行く旅行って、多分世界一楽しい旅行ができると思っています。

ゴールデンウィークを使って、ミースの「ファンズワース邸」、ライトの「落水荘」、ジョンソンの「グラス・ハウス」、ルイス・カーンの「エシェリック邸」を見るツアーを計画しています。おふたりで参加されませんか(笑)。

アメリカには行ったことがないので、参加したいですね。

今までにはどんなところに行かれましたか。

M:いっぱいいろいろなところに連れて行ってもらいました。彼が表彰式で海外に行ったりするときに、建築を見に行こうという話になるので、この間数えたら、23の国と地域に行っていました。

バウスヴェア教会

パンテオン

ブレゲンツ美術館

聖ベネディクト教会

近代建築と現代建築だとどちらを見ることが多いのですか。

両方とも好きですね。

今まで見た建築で好きなものは。

全般的に好きなんですけれども、特に好きなのはウッツォンの「バウスヴェア教会」とか、ローマの「パンテオン」とか、「パンテオン」には10回くらい行っていますね。雨が降ってきたら、「雨のパンテオンに行こう」とどこか他に行っていても戻って見に行ったりしています。夜の月の光がどんな感じか見たくて行ったんですけれど、人工照明で月の光線が見えなかったんです。閉館になるまでずっと待っていて、閉館になったら電気が消えたんですけれど、結局追い出されてしまったんです(笑)。

現代の建築家の作品では何かありますか。

ズントーの「ブレゲンツ美術館」「聖ベネディクト教会」は良かったですね。

奥様はどうですか。

M:最初に行った旅行がスペインだったんです。そこで見た「バルセロナ・パビリオン」が建築ってこんなに美しいんだと、そのとき生まれて初めて思いました。それまで持っていた自分のすべてを捨てて、この建築家と一緒にいようと思ったんです。1年に1回、2年に1回、5年に1回こんなに美しい旅行ができるんだったら、それに人生のすべてを捨ててしまおうと本当に思ったくらい美しいと思いました(笑)。

それはすごいですね。

M:5年くらい前に「バウスヴェア教会」に行ったときに、いつか教会をやるようになったら、もう1回ふたりで見に来ようという話をしていました。

確か教会をやっているのでしょう。

M:それでこの間、やっぱりもう1回見に行って来ました。やるようになって見て、ちょっと違う感覚で見れるようになっていました。そのときに感想や思っていることを話すとちゃんと聞いてくれて、ちょっとしたところに気付いたときにはコメントを出してくれるので、一緒に見る甲斐があるというか、すごく楽しいですね(笑)。

趣味はありますか。

趣味はなんだろう(笑)。音楽を聞いたり、何かを聞きに行くのが好きです。大体仕事の合間になるので、本当にその辺にジャズを聞きに行ったりするだけです。

いいですね。奥様はどうですか。

M:私は本当に保坂猛が趣味だと思っているので、この男がやることを面白いから見ていようという感じです(笑)。

最後に建築でこれから何をやりたいか野望を聞かせてください。

「シドニー・オペラハウス」とか、「落水荘」とかのような歴史に残るようなすごい建築をいつかつくりたいですね。いつかそういうものをつくることを目指して、建築を続けたいですね。

シドニー・オペラハウス

落水荘

まあまあの建築で妥協せず、その上を目指して建築をつくり出すという話を聞きましたが、そのやり方を貫けば、そういう方向に行けそうですね。

毎日毎日の積み重ねなので、疲れて時間のない中、それでもやるみたいな体力のいることなんですけれど、ちょっとしたところをサボらないで地道に頑張り続ければ、いつかいいこともあるかもしれないと思っています(笑)。本当に地味な発想です。

そのためにはパワーが必要なので、コミュニケーション・マネージャーで栄養士でもある奥様に美味しいものをつくっていただいて、趣味の対象にもなってあげてください。今日はありがとうございました。

インタビュー風景


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