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品番がわからない場合


海外コミッションにも挑戦

海外コミッションにも挑戦
メールで来た海外デビュー作

驚くような作品がたくさんありますが、クロアチアのザグレブでも何かやっているのですか。コンペで勝ったのですか。

違うんです。クロアチアの担当者から直接メールが入りました。今まで海外から仕事のオファーじゃないですが、「こんなことができるか」という連絡はスイスや台湾から過去何回かあって、「やれますよ。大丈夫ですよ」と返しても、その後梨の礫ということが結構多かったんです(笑)。ただ今回のクロアチアの担当者からメールで「こんなことを考えているんだけれどもできるか」と、「できるよ」と返して、その後に期間が少しあいたのですが、「東京に1月に行くので、会えないか」と。去年の話だったのですが、やはり会いに来てくれる方というのは話が進むんです(笑)。

その方は小川さんのことをどうやって知ったのですか。

建築系のインターネット・サイトで僕の作品を見たようです。

隈研吾の弟子ということも知っているのですか。

それはもちろん調べた上で、オファーをかけてきています。病院の屋上のランドスケープのデザインなんです。ですから建築ではないんです。

病院の屋上のランドスケープ
(C)OGA

彼は小川さんの作品のどういうところを見てオファーしたのですか。

彼ではなく、彼女なんです。彼女は病院のドクターなんですが、病院の上司から言われて、現在の病院には患者さんたちの寛げる場所、スタッフの寛げる場所がなくて、そういった部分の環境を改善しろという指令の元に動いていて、彼女の采配に任されたんです。ただ彼女だけの評価で僕を選んだわけではなくて、ザグレブの大学の建築学科の先生に友人がいて、「彼に頼みたいと思っているんだけど、どうだ」と話したら、「知っている」と。

そうだったのですか。

たまたまかもしれないんですが、その先生の授業で僕の建築作品を使っていたりもするという話もあって、それで僕で大丈夫となったようです。

今はインターネットの時代なのですね(笑)。

本当にそうなんです。それなりの決断はあったと思うんですけれど、建築ではなくて、ちょっと場所をつくるというようなものなので、資格がどうこうというわけではありません。去年の9月に現地に行かせてもらって、地元の設計事務所にバックアップに付いてもらっています。構造的な検討もそちらでやってもらって、植物を選ぶデザイナーの方も付けてもらって、僕のほうではファーストの案を出しました。お話をいただいたときに病院の屋上のランドスケープと言われたんですけれど、「違う。スカイスケープだ」と。空の風景をどうつくるかだろうと。最初にランドスケープと言われたので、先入観で床を何かしなきゃ、何かしなきゃとずっと考えていたんですけれど、そもそも建物の上になってしまったことによって、ランドからは離れている場所なわけです。むしろそれは空に繋がる場所をどうデザインするかというので、スカイスケープというコンセプトを立てさせていただいて、ビルにはもともとペントハウスがあって、その両サイドの屋上部分に休憩場所をつくるということでした。構造にもなるスチールでつくったリング状のものと、パーゴラです。パーゴラだと建築にならないので。そういうもので空間を構成していって、いろいろな場所をつくって、床は四角の構成を取って、フラットバーが上に行くにつれてリング状に変換していくというデザインです。

でき上がったものが見たいですね。

下は四角で、上はリングで、フラットバーの薄い柱が上のリングを支えるようなデザインになっているんです。

普通の人はここには入れないですか。

病院の屋上なので、普通に病院に入って、屋上に上がればアクセスできる場所です。

海外の作品としては初めてですか。

もちろんそうです。

ターゲットとしてアジアはどうですか。

それはオファーをいただければ、どんどん(笑)。僕の性格上、契約なんかしてなくても突っ走ってしまうんです(笑)。実際これもまだ契約はないんです。ないですけれども、「時間がないのでとりあえず考えてくれ」と言われて、「じゃあやるよ」とやっているんです。その後は彼女もいろいろと動いてくれていて、会いに来てくれて、話をして、顔を見て、人となりから信用しています。

海外では契約社会ですが、日本的ですね(笑)。

そうなんです。クロアチアの方ってすごく人がいいんです。去年の9月にはゲスト的な立場で行っているというのもあるんですけれど、ちゃんとリスペクトがあって、信用ができる方たちでした。

これは完成しますね。

そのつもりでいます。


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