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   レオナルド・ダ・ヴィンチ的万能人を目指して


渡辺さんは横浜のどこで生まれましたか。

和田町というところです。横浜国大をダラダラと下りてきたあたりです。もっとも当時の横国はあそこにはなかったですが。相模鉄道という横浜の人しか知らない電車なのですが、その沿線です。


横浜の風土が、渡辺さんに影響を与えたことはありますか。

最初にお話したように、生まれたのは都市的なところで、育ったところは横浜と言っても、まわりに土があり、木があり、蝶が飛んでいるところでした。コンクリートの中で生まれ、土のあるところで育つという順序だったので、自然は私にとっては再発見したものです。だから自然を見る時に、どうしても人工物と同様に、システムとして見てしまう。そして人工物である建築や都市を見た時に、建築も都市もシステムですけれど、今度は自然の生態系に近いものとして見るのですね。そういうことは、生まれ育ったところの風土と関係していると思います。


小学校、中学校の頃に好きだった科目は。

理科と国語と図工。


僕と似ているな。

昔の男の子は理科でしたよね。


海外へ行って、いろいろな都市を見ていると思いますが、記憶に残る都市空間はありますか。

割と好きなのは中世都市ですね。昔、原(広司)さんが研究していた集落や、陣内(秀信)さんが研究している地中海の街もいいです。イタリアの山岳都市とか、今はポピュラーになりましたけれど、村全体が1個の建築のように思えるのですね。それと歩くごとに発見がある。大きな広いブールバール沿いに整然と並んでいる街もきれいだけれど、何度見ても同じものしか見えません。ところが山岳都市は歩き回るたびに、ここにこんなものがあったとか、あそこから空が見えたとか、そういうところが面白いですね。

シオン
シオン
撮影:MAKOTO SEI WATANABE/
ARCHITECTS' OFFICE


イタリアの山岳都市というのは具体的に名前がありますか。

たくさんあります。有名なサン・ジミニャーノでも、グッビオでも、映画「ライフ・イズ・ビューティフル」のアレッツォでも。イタリアに限りません。レクチュアの時に行ったメキシコのグァナファトも面白いし、スペインの断崖上の街ロンダは爽快、ジュネーブ近郊のシオンの、かわいらしい小山の寺院でずっと座っているのもいいですよ。


では渡辺さんに影響を与えた建築や建築家は。

その質問はよく受けるのですが、いつもお答えするのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ。ダ・ヴィンチの建築は実際にはほとんど完成していないですよね。彼をなぜ好きかというと、何かをつくる時に、何でそれがそうなっているのか、世界や宇宙の構造を知りたい、自分でそれを再現したいという意志が伝わってくるところです。彼が巻き毛のスケッチをしていると、スケッチしているうちに、だんだん水の流れを描いちゃうのですね。そうすると水はどうやって渦を巻くかということに関心がいって、そっちの研究になってしまう。同じ手稿に両方描いてある。その広がりが、ただ拡散してしまうのではなく、そこからシステムを取り出そうとする。そういうところが好きです。それと、なかなかものができていないというところにも、シンパシーを感じます(笑い)。


では渡辺さんの趣味は何ですか。

仕事と趣味の区別があまりつかないですからね。


建築家はそういう人が多いですね(笑い)。

何となく手を動かしてスケッチしているのは遊びといえば遊び、仕事といえば仕事ですね。


オペラとか、お酒を飲むとか、建築から離れたもので何かないですか。

酒を飲むことは趣味じゃないような気もするけど(笑い)。


嗜好品ですね(笑い)。

そういうふうに言うとスキューバダイビングかな。あれだって無重力空間体験という点では建築ですよね。


スキューバはやるのですね。

最近はシュノーケルで済ますことが多いですが、一応趣味を聞かれるとそう答えることになっています。後、ハンググライダーも昔。とにかく、浮くものがいいのです(笑い)。
まあ、やはり写真も趣味でしょうね。よく、一眼レフを持って、目的地を決めずにふらっと電車に乗って、気が向いた駅で降りるのです。そして街をただ歩いて、なんとなく惹かれたものを撮る。路地とか電柱とか空とか。地図もGPSも見ません。疲れたら駅に戻るかタクシーで帰る。でも自分の作品の撮影をすると、これは仕事になってしまいます。海外で掲載される作品の写真は、ほとんど私の撮影なのです。


お酒は何が好きですか。

ワイン。フルボディ。最近は節制しています。


肝臓に気をつけてください。今日はありがとうございます。


  
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