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路上観察学会
   ユニークなメンバーが集めた“無用の長物”的宝物


先生の活動のひとつに「路上観察学会」がありますが、グループの皆さんとはもともとどういう関係だったのですか。

「路上観察学会」というのは5人いるわけ。
藤森、赤瀬川(原平)、南(伸坊)、筑摩書房の松田哲夫、林丈二。林さんがマンホールの蓋の本を出したんですよ。
路上観察学会メンバー(左より藤森照信氏,赤瀬川原平氏、 南伸坊氏、松田哲夫氏、林丈二氏)、 イラスト:南伸坊氏
路上観察学会メンバー(左より藤森照信氏,赤瀬川原平氏、 南伸坊氏、松田哲夫氏、林丈二氏)、
イラスト:南伸坊氏

藤森展の準備を手伝う赤瀬川氏(赤いシャツ)と南氏(青いシャツ)
藤森展の準備を手伝う赤瀬川氏(赤いシャツ)と南氏(青いシャツ)

その書評をしてくれと僕のところに持ってきたんです。マンホールの蓋の書評を東大の先生がするのはまずいと思って、まだ赤瀬川さんのことを個人的には知らなかったんですけれど、赤瀬川さんが変なことをやっているというのは知っていたんで、「赤瀬川さんに頼んだらどう」と言って、赤瀬川さんが書評をしたんです。それが縁で、書評を担当した新潮社の編集者がみんなで会ったらどうかと、それで林さんのところに行って、そこで初めて赤瀬川さんに会ったんです。それが「路上観察学会」のはじまりです。赤瀬川さんのお弟子さんが松田さんと南さんで、子弟関係なわけです。赤瀬川グループに僕と林さんが加わる形でできました。

「路上観察学会」の活動の発端は。

それぞれいろいろなことをやっていたんです。赤瀬川さんはただ昇って降りるだけの階段とか(笑い)、そういう無用なものをトマソンと言っていたんです。トマソンを知らない人が多いかもしれないけれど、昔巨人にトマソンという外国人選手がいたんです。その人は鳴り物入りで入ったにも関わらず何の役にも立たなかった(笑い)。それでそういう変なものをトマソンと赤瀬川さんが名付けたんです(笑い)。

ユニークなメンバーの集合体で面白いですね(笑い)。

僕は西洋館とか建築関係をやっていて、みんなそれぞれにちょっと時代からズレてしまったものを面白がってやっていたんです。それが集まったんです。実用性のない、都市の中の変なものを探すんです(笑い)。
愛の狛犬
愛の狛犬

電話する大黒様
電話する大黒様



「愛の狛犬」とか、「電話する大黒様」とか、面白いと思いましたね(笑い)。それを見事につかまえたことと、そのネーミングが抜群にユニークです。

赤瀬川さんのネーミングが抜群なんです。芥川賞作家ですから(笑い)。

そういう無用の長物的なものを見つけるのも、本当に皆さんで見てまわっているのですか。

そうそう。ずっと地図を持ってそれぞれ街を歩いています。そんなことを20年間もやっているんだもん(笑い)。

それは今でもやっているのですか。

やっています。年に何回か。ただやってみて思うけれど、そんなに変なものはいっぱいないし、パターンになっちゃうんです。それは淋しい限りで、新パターンはほとんど出て来ない。最初の3年位で出尽くしました。面白いことに、人間は変なことをやると言っても、僕らが知っている以上に変なことってないね。それがちょっと残念なの(笑い)。

海外ではどうですか。

今までにいっぱいやっていますけれど、海外は意外に面白くない。特にヨーロッパは面白くない。変なものはないよ(笑い)。

文化の違いでわかりづらくて、見逃しているのではないですか。

そうではありません。石の建物の世界には変なものが生まれません。それとアジアに行くと変なものだらけで、何が変だかわからない(笑い)。全体が変なものですから(笑い)。失礼な言い方だけど、アジアはゴミ状態ですよ(爆笑)。

「路上観察学会」は海外へも行っているのですね。

ヨーロッパには散々行ったし、アジアもいっぱい行きました。うんと期待してヴェネチアに行ったけど、意外となかった。パリなんてないよ、変なもの。単純な話、ポスターはあっても貼り紙がありません。日本だと「猫探してます」と貼り紙をするでしょう。外国だと電話番号なんて書いたら、ひたすら怪しい電話が架かってきますよ(笑い)。

なるほど。

外国では猫を探して電話を架けてくれる人なんていないですよ(笑い)。ヨーロッパの都市で暮らす時にそういうことを期待してはいけないんです。

日本はやっぱり治安国家なのですかね。

日本は個人と社会の間に曖昧なものがあるんですよ。峻別されていないんです。そこにいろいろ変なものが発生してくるわけです。一番わかりやすいことを言うと、路上に置いてある植木鉢ですよ。あんなものは欧米では許されないことです(笑い)。公的なものを私的に使っているんですから。日本だと花が植えてあると、まあいいかと(笑い)。
  
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