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   ダブル展覧会で多望な日々


僕が藤森先生に初めてお会いしたのは、『新建築』の臨増(臨時増刊号)の出版の際に村松貞次郎先生と一緒に新建築社に来た時だったと思います。

『新建築』は学生時代からずっと先生が何かやると手伝っていたんですよ。ちょうど馬場(璋造)さんや石堂(威)さんが中心の頃ですね。臨増では歴史っぽいものをやるんですよ。

そうです。確か『虚構の崩壊』の時だったと思います。

それも手伝っていました。

そこで“建築の死”について書いていましたね。

書きましたね。

「建築は如何にして死してきたか」。それを今回読み返してみました。すると建築は自然死、事故死、誤診死、刑死などで殺されていると、建築の消滅を死亡診断書のような書き方をしていました。あれを読んで面白い人だと思いました。

そうですか(笑い)。

赤坂の「虎屋」が、東京オリンピックの道路拡張によって、青山通りにひき殺されている、では笑ってしまいました(笑い)。先生は昔からこういうユーモアのある人だったとわかりました。それが今の講演や展覧会に通底していると思います。それから2年位前に、JIAのデザイン・セッションで渡辺洋治さんについての講演をお願いしています。あの時の先生の語り口も面白かったですね。

そんなに面白かったですか。

メゾン四畳半 藤森照信展
メゾン四畳半 藤森照信展
そしてこの前はエルメスの「メゾン四畳半 藤森照信展」へも行きましたが、あのコンセプトは。

あれは僕の指導でエルメスの人達が自分たちのやりたいことをやるというプロジェクトです。条件はいっぱい付けていますけれど。4畳半というのは日本の住宅の最小単位です。その4畳半を使って、そして使っていい材料を僕が許可しています。あとは皆さんが自由に。

あれは進行形の面白い展覧会ですね。

そうです。ずっとつくって、まだできていないと思いますけれど、だんだんでき上がっていきます。

でき上がった頃に展覧会は終わってしまうのですか。

いいえ。終わる1カ月前位につくり終えると言っていましたね。

先生のあこや貝は何だったのですか。

住宅のほうはエルメスの皆さん、社長以下グループに分れてやっていて、僕も何かやろうかと思ったんです。要するにいろいろ指定した材料の中で、あこや貝を使いたいという人達がいないんです。まあそれはそうだと思いますよね(笑い)。僕が今までに使ってきた材料で、漆喰とか、金箔とか、墨はいたんです。あこや貝はいないんで僕がやろうと思って。あこや貝を使ってエルメスで何かやるというので(笑い)、ボッティチェリの絵をすぐに思い出して、美神ミューズの誕生しかないだろうと思い、それでお願いしてやってもらいました。

あのあこや貝にはどんな機能があるのですか。

立って写真を撮るんです。自分をビーナスと見なして写真を撮るんですよ。だから見なさない人はダメでしょうね(笑い)。

ヴェネチア・ビエンナーレ建築展帰国展
ヴェネチア・ビエンナーレ建築展帰国展



丹下健三氏
丹下健三氏

東京計画2107
東京計画2107

土塔
土塔

データタウン
データタウン
そしてその後すぐにオペラシティでの展覧会がオープンし、ダブル展覧会になりましたね。

あれはヴェネチア・ビエンナーレ建築展の帰国展です。日本館の展示が向こうでも大変話題を呼んだものだから、帰国展をやろうとなったんですけれども、今の会場はヴェネチアの会場の3倍あるんですよね。だから持ち帰ったものだけでは、隅っこだけで終わるんで、ほとんど新作で埋めた状態です。実際に持ち帰ったのは写真と模型くらいで、あとは全部今回新しくつくりました。

入口付近には今までの作品がありましたが、あの中のどの部分をヴェネチアで展示していたのですか。

最初の部屋がふたつに分れていて、くぐった後のところと、小屋の中のビデオはヴェネチアで展示していたものです。

あの中で僕が一番面白かったのはエポック・メイキングな「東京計画2107」です。

100年後の水没計画(笑い)。

いや、むしろメシア(救世主)的計画でしょう。お墓の下の
丹下(健三)さんもびっくりしていると思いますよ。あれは東京タワーを越えたところまで水がきてしまっているということですね。

このまま放っておくと地球は洪水と砂漠化の両方になります。その洪水に襲われ、砂漠が押し寄せた東京という前提です。だから丹下先生の「東京計画1970」も水没してしまって・・・・・(笑い)。

今度は俺の東京計画だと(笑い)。

いえいえ。

その中の
「土塔」にはどういう機能があるのですか。

機能はありません。温暖化で、都市は水没し、普通の陸地には大体砂漠が押し寄せてきます。どこかの時点で一応温暖化も止まって、人類も反省します。人類が反省した時点で、地球の方々の砂漠に地球自身が芽を吹いてきたという感じです。地球自身の再生です。再生の最初は地球が自分の力でああいうふうにするだろうと。

あれは人工的に土の塔をつくり、それに芝生を付けたのではないのですか。

そうではありません。もちろん模型は僕らがつくっていますけれど。自然に地球がああいうことをするということです。ちょうど芽が出てくるように。砂漠の中にああいうものが出てきて、そこからおそらく最初は地下水か何かが噴出してくるんでしょうね。

それは先生の予測ですね。

予測というか、イメージだね。地球は自分を回復するわけです。

それは面白い!僕は水没してしまうから、人工的に「土塔」をたくさんつくるのだと思っていました。

ちょうど肉体でも傷の跡が盛り上がってきますが、ああいう感じです。だんだん地球がモコモコと再生するんです(笑い)。

オランダにMVRDVという若手の建築家グループがいるのですが・・・。

知らないな。

そのMVRDVに
「データタウン」というプロジェクトがあります。これはアイディアで、超過密都市によって排出される膨大な量のゴミや廃棄物が超高層並の高さに堆積したゴミ超高層群です。パッと見た形は似ていますが、「土塔」はもっと清いものだったのですね。

そうですよ(笑い)。


  
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