<学校概要とコンセプト>
同保育園は老朽化に伴う移転のため、新築された。『自然豊かな環境の中にある保育園』を目指し木造の園舎が完成した。歴史的面影を残しつつ乳幼児にとっては将来、脳裏に浮かぶような意匠空間構成にすることに配慮した。また、珪藻や土塗壁など健康に配慮した素材を選定し、可能な限り木質仕上げとするなど、1日の大半を過ごす生活の場であることを意識して計画されている。計画検討にあたっては先生方に使う側からの要望を、どんな細かなことでも挙げてもらい、ディスカッションを重ねることで、建築的な良さだけではなく、保育という観点からも優れた園舎となった。
<水まわりの特徴>
- あくまでも保育室の一部としてのトイレ(配置計画)
設計者、先生方とも共通して「トイレは汚い場所」という意識を、園児たちに持って欲しくなかったと語る。以前は園舎の端に設置され、目が届かないことに管理する側も、また利用する園児たちも不安に感じ、縁遠い怖い場所になっていた。そこで新築を機に、保育室の真ん中にトイレを設置した。
- 開放感と明るさ
以前は、トイレが怖くて、ギリギリまで我慢してしまうことで、トイレに行く途中で阻喪をしてしまう園児が多かった。そこで、扉などをつけず開放的で、使っている時にも先生方の存在を感じられる、視線を合わせて会話ができる、明るく安心できる空間とした。また、安心という観点から利用する園児の年齢に合わせてトイレのプランを検討した。
- メンテナンスのしやすさ
トイレで寝転がる園児もいることから、清掃には計画の早い段階から、関心が高かった。温かい素材を採用すると共に、その素材のメンテナンス性や器具の選定は、先生方からの要望で検討された。特に 小便器は床置式ではなく、壁掛式で床下清掃がしやすいように配慮した。
<改修後の声>
以前の園舎から、格段に「仕事がしやすくなった」と園長先生はお話された。先生は一度に何人もの園児を見なければならない。そのことを実現できる配慮として、声が届く距離に設置したということは非常に有益な計画となった。また保育室の中心にトイレを配置することで、部屋の一部として意匠的にも配慮され、教育的観点からも望ましいトイレが完成した。「トイレを部屋の一部としてつくりたい」「便器を使いはじめる段階では、オープンに」この2点の要望が実現され、見る側にも使う側にもやさしいトイレとなった。