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●インタヴューの前に―標準的な民間マンションを探して
連載ではいつもいろんなことを自問しながら取材している。この住人と隣人だったらうまく付き合えるか、とか、この設計者が設計した家に住めるか、とか、このデヴェロッパーの仕事だったら受けるか、とか。そんななかでやはり一番大きな問いは、「じゃあこの物件を自分だったら買うか」っていうものだと思う。
今まで見てきた4つはそれなりに北京では話題の住宅区だし、どれもそれなりの特徴があるんだけれど、じゃあ自分でそこの一戸を購入して住むか、と言われるとどれもノーだ。自分の求めているのはそう高級なものではない。立地がよくて、飽きのこないデザインで、価格がリーズナブルなら合格だと思うんだけれど、なかなかそれがすべてそろったものには出会えない。民間マンションは中国語では「商品房」と言うくらいだからか、「商品であること」が前面に出ていて、どれも他との差異ばかりが強調されている感じがする。他との差異はいいから直球勝負で普通にいいものに出会えないかなあ…と思って早くも連載も5回目だ。
今回紹介する「後現代城」は、名前こそ奇妙だけれど、ある種の匿名性を帯びた物件だと思う。デヴェロッパーの個人の名前が宣伝されているわけでもない、デザインもなんだか見たことがあるような要素の寄せ集めのような感じ、設計者の名前は出てこない、ものすごく街の中心にあるわけでもない…。しかし逆にいうと、及第点すれすれのいいところを付いた物件でもある。すなわち、それなりにすっきりしたデザインで色も形も落ち着いているし、中心からは外れているけれど幹線に近くて交通は便利だし、値段はそう高すぎも低すぎもしない、「標準的な民間マンション」なのだ。
北京の不動産情報誌をめくるとぎらぎらした広告で埋まっているけれど、この物件はおとなしく端っこのほうに掲載されているだけだ。差異で売る物件でなく、安心とかスタンダードで売っている物件という感じがする。聞いてみると1、2期は完売だそうだ。やはり中国人の消費者もこういうものを求めているんじゃないだろうか。家を買う住人がみな自分の物件のデヴェロッパー社長の人生成功記を知っていたり、外国人設計者のほかの代表作を知っている必要なんてないわけだから。
インタビューは、この物件を設計した設計事務所の担当者と、最近やっと内装工事を終えた住人の2人にそれぞれ行うことができた。
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