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インタヴューの前に―
   ペキンのインターナショナル・スタイル
物件データ
インタヴュー1
インタヴュー2
インタヴューを終えて


●インタヴュー1

相手:フータオ女史(SOHOチャイナの設計部経理、30代前半の女性、北京出身)
場所:建外SOHOのご自宅にて(朝陽区東三環中路)
日時:2004年9月18日

フーさんは建外SOHOを開発したデヴェロッパー(SOHO チャイナ)に勤務する設計部門のマネジャーである。取材当時は、会社が次に進めている大型プロジェクトでオーストラリアの設計事務所との協働作業を仕切っていてとてもお忙しそうだった。週末の半日を自宅でのインタヴューにようやく空けてもらって実現したのが以下の記録である。

 自分で関わった開発物件に開発側の人間が住人として居続けるというのは、それだけ品質に自信があることの表れのようで、他の住人にとっても安心材料なのではないだろうか。聞くところによるとデヴェロッパーの社長夫妻もある棟の最上階に住んでいるという。フーさんは山本理顕さんの設計にとても惹かれてここの購入を決意したらしい。しかも自分の住むところだけでなく、地下1階から2階までの3フロアをまとめて買って、テナント賃料収入を得ながら20年ローンを返済していくという、独身のやり手女性である。職場でお会いしたときは知的でフェミニンな服装でばっちり決めていて、ちょっと強面で緊張したんだけれど、実際に自宅でお話を伺ううちに少しだけ私的な部分もかいま見ることができたように思えた。ドイツ暮らしが長かったせいか生活に対して繊細なだけでなく実用的な考えをお持ちのように思われた。単なる帰国子女で金銭的に派手に暮らしているというのではなく、なにが本当に豊かで快適かということを自分なりに深く考え抜いているような、そういう印象を持った。中国の生活レベルは徐々に上がっている、というが、彼女のような例を見るとそれが本当に内在的なレベルで達成されているような感じがしたものである。

ここにくるまでの経緯

松:今日はフランクなインタビューにしたいと思っています。あなたの興味深い点は、住人として実際にここに住んでいるということに加えて、発注側のデヴェロッパーの社員としてこの計画に深く関わっていたことです。最初にこのスペースをどう使っているかというところからお聞きしたいです。さっきちらっとこの住宅地区の中で自分は唯一2階部分を住宅に使っている住人だとおっしゃいましたがそのあたりから。計画時はこの階は住宅として設計されていなかったんでしょうか?

フー:住宅スペースとして設計されていました。

松:なぜ他の人は住居として使わず商業スペースとして利用しているんでしょう?

フー:たぶんこの住宅地が完全に街の中心に位置していて、人のイメージとしてここがいわゆる伝統的な意味での住宅というよりは、オフィスや商業のイメージが強いというのが、理由としてあるのではないでしょうか。また下層の階が上の階より屋外の街路との結びつきが強いのは自然なことですから、そこがお店になっていくのはある意味当然なことだと思います。

松:この物件では階高も上の階と下の階で違うんですか?

フー:1階から3階までは3.5mで4階から上は3.1mで違います。私は2階を住居として利用することでタワーの上の方に住んでいる人より高い天井高を得ています。この階高はすべての棟で共通ですが、デザインの上では2号棟と5号棟だけが独立したタワー型で足元まで住宅の想定になっています。そのほかの棟は足元に基壇状のヴォリューム、つまりポディウムがくっついていて、これは最初から商業スペースの想定でした。

松:今我々は2階にいますが、この下の階もフーさんのものとうかがいました。あなたはオーナーなわけですよね。どの部分を具体的には所有しているんでしょうか?

フー:この下の1階と地下1階部分です。実際下の地下1階と1階の2層分はもともとはデュプレックス(2層一体型)でした。私の所有しているのは2階まで込みで、全部で250平米です。

2、5号棟の足元の様子(左)、タワーが地下1階のサンクンガーデンのレベルから立ち上がり、1階ではブリッジで屋外空間と連結されている。ポディウムのある棟のようす(右)、3階までの高さのポディウムが商業施設を内包する。ポディウム内の商業部分はスケルトン売りで、購入者が自分で内装するのと、各戸の規模も200平米以上と大きくなる。タワーの上の方はSOHOでの使用を想定していて、開発側が内装まで済ませてから販売する。実際竣工後はSOHO部分の方が面積が小分けできて、内装も自分でする必要がないというのが好まれて、小規模のショップ(ブティックやビューティサロンなど)が入ってきている。低層部商業、高層部SOHOというはっきりとした区分けが消滅してきているのもこの住区の特徴だと言える。

松:各階の面積はどうなりますか?

フー:2階のここは販売面積で98平米です。実際に使える使用面積は68平米くらいです。

松:1階はお店として貸しているわけですね、彼らはどんな商売をしていますか?

フー:スピーカーなどのホームシネマの設備を販売しています。地下1階はブティックです。

松:彼らは各階であなたのスペース以外をまたいで間借りしていますか?それともあなたのスペースだけ?

フー:私のところだけを使っています。

松:そうすると2つのお店はそれぞれ約100平米くらいあるということですか?建築面積として。

フー:実際の建築面積の合計は300平米くらいになります。使用面積のトータルは250平米くらいです。2階は70平米、1階は100平米、地下はここと同じ70平米くらい

地下1階から3階までのフーさんのフラットの西側外立面(左)。地下1階はサンクンガーデンに面していて入口が、1階はブリッジで連結した入口がある。2階がフーさんの住居で、入口は住棟内部にある。1階のホームシアター機器販売店(中)と地下1階のブティック(右)、地下はメザニンで設備層が一部貫入している。どちらの内装もフーさんが施工会社の設計を確認して何度も直させたそうだ。

松:どうやってテナントをみつけたんですか?仲介会社を通して?

フー:SOHOチャイナは、床を販売したあとをケアするレンタル部門があってそこがオーナーにテナントの斡旋をします。私も他のオーナーと同じくそこを利用しました。この住宅地区の床はすべて売り切れましたから、床はすべてだれかオーナーがいることになります。各オーナーがテナントをどうみつけるかはもはやフリーです。SOHOチャイナのレンタル部門を利用する人もいるし、そのほかの仲介業者を利用する人もいるし、自分でなんとか見つけてくる人もいます。

松:テナント料はどうやって決まりますか?オーナーであるあなたとテナントの間で合意すればそれで決まりですか?相場はいくらくらいでしょう。

フー:そうです、ネゴで決まります。今ここのだいたいの値段は、低層部のお店の場合、月当たり平米単価で30−35ドルといったところでしょう。上のタワー部分だと10−15ドルの間だと思います。価格は上がってきているようです。

松:テナントをさがすとき、お店でなくて住宅ユースで貸すということはありえなかったんでしょうか?

フー:ないです、なぜならもともとこの3フロアは1つの住戸として計画されていました。1階はリビングとキッチン、2階は寝室、地下はスタジオ、というような風にです。それを私が自分で分割しました。ですからどこかの階を単独で貸して住居にするという設定はちょっと無理がある。お店としても200平米以上になるとちょっと大きくてテナントが入りづらいけれども、各階が100平米くらいにわかれているこのタイプはお店が入るのにちょうどいいサイズだということもあります。

松:あなたの隣人はみな各階でわけてスペースを貸していますか?

フー:みなばらばらです。3階をそれぞれ分けている人もいれば、下2階を一体化して貸す人もいるし、上2階をそうしている人もいます。

松:で、みんな商業スペースとして使っている中で、2階以下で住居として使っているのはあなただけだと?

フー:そうです。3階までは私以外の住宅ユースはないと言っていいと思います。この棟の3階は3つブティックと2つビューティサロンが入っています。実際、上の階のタワー部分でもお店や事務所が住宅ユースより多いんですよ。多分この5号棟全体では15世帯くらいしか住宅ユースはないと思います。実際に数えたことはないけれど、だいたいの感覚でですね。上に上がったことがあるからなんとなくわかるんです。

松:この棟は住宅ユースが比較的少ない棟なんでしょうかね?

フー:いえ、私はそうは思わないです。建外SOHO全体で住宅ユースは3割くらいなんじゃないかと思います、あくまで私の実感であってきちんと数えたわけではないですけれど。

松:建外SOHOはすべてのフラットが完売したのは有名な話ですが、そうするとそのうち3割が住宅で、あとはショップとオフィスなわけですね。実際のオーナーは投資目的が多くて、テナントが入るかどうかは販売とは別なわけですけれど、テナント入居率はどれくらいなんでしょう?

フー:ほとんど95%以上だと思いますよ。

松:住宅率が低い環境にお住まいになるのはどういう印象をお持ちですか?たとえばあなたの隣人たちはすべてお店なわけですね。商業施設に囲まれて住むことで不自由な点はないですか?

フー:うーん、私にとっては実際のところ普段あんまりお店や事務所利用の人たちを見ないで済んでいます。ここは2階ですから私はほとんどエレベータを使いません。もしもっと上に住んでいたらエレベータを使うでしょうし、そうなれば住宅と商業の混在に対して多少不便な思いをするかもしれません。いろんな人が出入りするのを目にするでしょうし。このフロアでは、私の隣人はみなお店ですが、かれらの実際の入り口は1階なんです。この2階の入り口を隣人のお店の関係者が利用することは極めて少ないし、廊下を通ることもほとんどない。お店の従業員がこの廊下でお弁当を食べたりはするから、そういうのは少し困りますけどね。

松:近所付き合いはありますか?

フー:そんなにないですね。

松:単純に両隣のオーナーをご存知ですか(笑)?

フー:水回りの側のオーナーは知ってますけど、この階の彼らの入り口は閉めてあります。反対側のは・・・知らないけど私はそのオーナーを探さないといけないんです、なぜっていつも2階の廊下で彼の従業員がお弁当を食べてちらかしているから(笑)

松:フーさんはこの計画に建設段階から関わってきたわけですが、いつ買うことを決心されたんですか?

フー:もともとは20階のアパートを購入しようかと思っていました。そのときは他のプロジェクトに関わっていたので、このプロジェクトの全体のデザインを把握していなかったんですが、やがて実際のところ上層のアパート部分の値段が高いことがよくわかり、どうやってローンを払おうかと考えたんです。ここの物件を買う多くの人は投資が目的です。実際に住むわけではない。私にとっては、初めてマスタープランを見たときに、一目でとても気に入ってここに住みたいと思いました。やがてあるとき図面を見ていて突然この今住んでいるタイプを「発見した」んです。地下1階から地上2階までのユニットで、これはいいと。なぜかというと各階にエントランスがあるからです。

松:それは建設段階で「発見した」んですか?それともまだ設計の段階?

フー:設計段階でしたね。このタイプはもちろん上の階のアパートより単価は高いんだけれど、ここなら自分で住みながらだれかに貸すこともできると思ったわけです。

松:面積単価で比べても、もちろんこのタイプの方が上層階のものより高いわけですよね?

フー:そうです、階高がこちらのほうが大きいですから。

松:フーさんの場合、早くから購入を決意されたのであれば、だいぶ安く購入できたんじゃないですか?

フー:いいえ、実際に手続きしたのは他のオーナーより遅かったくらいです。

松:購入価格は実際はどれくらいですか?

フー:平米単価でだいたい1.6万から1.7万元の間くらいでしょうか。

松:銀行ローンはどれくらいの期間ですか?

フー:20年です。

松:どうなんでしょう、あなたのような若い女性が、このような都市の真ん中で300平米近い住居を投資して所有し、都市生活を満喫しているというのは、とても特殊なことなんでしょうか?それとも北京ではよくあるホワイトカラーの生活スタイルと言えるんでしょうか?

フー:私に言わせれば・・そうですね、この物件はきわめて特別だとは思いますが・・・実際この購入を決めたとき、それが投資だという意識はなかったですね。自分の居場所を確保する、という考えだったわけですから。

松:しかしもっと簡単な方法もあったわけですよね、単に上の階でもっと小さなアパートを所有するだけとか。

フー:すでにお話したように、もともとはそういう考えだったんです。しかしこっちのタイプにすることで、下の階からの家賃収入でローンを軽減することができると気づいたんです。

松:つまりそれが投資なわけですね。個人的なレベルでの投資。

フー:まあそうですね。それはしかもこのタイプのみで可能だったんです。

松:3層に分かれていたからですね?

フー:もっと正確に言うと、3層に分かれていてそれぞれに入り口が別に取れるということが大きかったと思います。それは私にとってとても重要なことでした。


すまいの状況

松:今のこちらの状況を見させてもらうと、リビングが直接廊下につながっていて玄関はなく、目隠し的にドアのそばに小さい家具がおいてある。キッチンと書き物カウンターがいっしょになっていて、奥にベッドルームがあるけれどどれも一体化してつながっている。さらに奥のほうにシャワーとトイレがあると。いつからこちらにお住まいですか?


入口から入ってみた写真(左)、左側にガラスのカウンターがあり、奥に木製のルーバーの付いた窓が見える。昼間は電気をつけないというのが長いドイツ暮らしを思わせた。窓の側から入り口の側を見返す(右)、キッチンはオープン式で、「子供のいる中国人家庭では事実上使えないけど、私のような1人暮らしなら十分」とのこと。奥には玄関からの視線をさえぎるアンティーク家具があってそこに写真がたくさん貼られている。入口ドアにはピンクのカーテン。

フー:今年の2月の末からですね。いま出来ている建外SOHOは2段階に別れて竣工しました。最初は去年の末に、ここを含んだその後のものは1ヶ月ほど遅れて今年に入ってから入居開始になったんです。

松:特にこの棟にこだわった理由というのはありますか?ほかの棟にもこのタイプがあったんじゃないでしょうか?5号棟だけでなく2号棟にもこのタイプはあるわけですよね。

フー:このタイプは建外SOHO全体でも9つしかなく、私がこのタイプを「発見」したときには、空きはもう4つしか残っていませんでした。それでここを買うことにしたんです。しかも私のいるこのタイプは、3層式の中でももっとも小さいタイプです。

松:入居に際してはご自分で内装をいじりました?

フー:ええ、入居してからですけれども。例えばベッドの奥のこの壁の色とかね、もともとの空間があまりに白すぎたものだから。水周りも全面的に手を入れました。それからこの窓の木製のルーバー。

松:西向きの大きな窓だから、これがないと暑くなりますね。カーテンもご自分でつけられていますよね。キッチンまわりはどうですか?冷蔵庫や洗濯機も一緒にビルトインされていますが。

窓についた木製ルーバー(左)。かなりしっかりした開き戸。家にいるときは空調をつけないという。訪ねてくる友人は暑いじゃないかというけれど、空調が嫌いだし気にならないとのこと。窓が大きいのはこのフラットの特徴だけれど、昼間は全部ルーバーを閉めておけば、夜帰ってきて換気するので十分暮らせていけると言っていた。キッチンとならんだ壁はホームシアター用のスクリーンが電動で下りてくる仕掛け(右)。天井のプロジェクターも電動で降りてくる。そういえばテレビはない。スクリーン下の洗濯機もマンション購入時にすでに装着済み。

フー:電化製品はすでにデヴェロッパーサイドで工事に含んでいるものです。それから台所側のモザイクタイルも私が自分で変えた部分です。もともとのデザインが嫌いだとかそういうわけではなく、ただ他とはなにか変えたかったからですね。

松:キッチンカウンターの向かいのこの大きなスライディング家具はやはりもともとの造り付けですか?

フー:そうです。この家具の後ろにあった小さな収納スペースはつぶして、水廻りを大きくしました。

松:今こうしていても外からの工事の音が聞こえますね。ここは今の竣工敷地の北側で、すぐとなりが工事現場だから仕方ないとは思うんですが、今は24時間工事の音がありますか?

フー:今は夜は工事は止まっています。入居当初は夜も少しうるさかったけれど。

松:地下駐車場は利用されてますか?

フー:車は持っていないし、使っていません。



スライディング家具(上左)と洗面室(上中)。もともとこの写真で洗面室の入って左側は収納だったが、それをつぶして洗面室を拡張している。ドアをなくして半オープンの洗面室にしている。北西角の詳細(上右)、配管を露出させて、奥の壁をモザイクタイル貼りに変更している。「山本事務所が監修したここの内装設計は好きだけれど、少し違うものにしたかった」というので手を加えたそうである。天井左側に埋め込みのスクリーンボックスと、天吊のスピーカが見える。分譲時の平面図(下)、ビルトインキッチンは大きな引き戸でかくれるようになっていたのをとりやめ、L型のスペースを仕切る引き戸もとりやめている。洗面室脇の収納もつぶして洗面室を拡大している。L型プランなので部屋の奥が入口から見えなくなるというこの空間の特徴をよく理解し、間仕切りのない一体空間として利用している。

フーさんのこと

松:もう少しフーさんご自身のことをお伺いしたいんですが、ご出身は北京ですか?

フー:そうです。北京生まれで高校までは北京にいました。

松:何年生まれですか?

フー:90年代初めにドイツに行きました。これでだいたいわかるでしょう(笑)。

松:お一人で留学ですか?それともご両親と?どちらの街に行かれたんでしょう?

フー:1人でです。アーヘンに行きました。アーヘン大学で6年半建築を勉強しました。

松:それから中国に戻られた?

フー:いえ、勉強のあともドイツにいて、結局約10年向こうにいました。最初はドイツ語をやり、建築を学んで、仕事もしたのでそれくらいいたわけです。在学中からパートタイムで仕事の経験を積んでいました。

松:北京に戻られたのはいつですか?

フー:2000年のクリスマスです。

松:当時はもはや中国の経済は活性化していて、海外留学組が多く帰国しはじめたころだと思いますが、なぜ直接北京に戻る決心をされたんでしょう?ドイツに残る選択肢もあったわけでしょう?

フー:決心した、という程のものではないんです。長いこと中国から離れていたし、当時は中国のことをよく知らないでいました。北京はとても早く変化していましたから、ほとんど私には見知らぬ街のようにさえ思っていたんです。あのクリスマス休暇で一時帰国するちょっと前に、インターネットで中国のデヴェロッパーが、万里の長城の麓に、アジアの12人の建築家に12の違う別荘を作らせるという計画があるというのを知ったのです。とても面白そうだと思ったし、その会社が当時建築家たちのデザインコーディネーションをする人材を求めていました。それが今の会社SOHOチャイナで、今に至ったわけです。

松:当時はまだレッドストーン=紅石公司という名前だったころですね。じゃあ最初はクリスマス休暇がきっかけだったんですね。

フー:そうです、休暇で帰ってきて、そのまま残ることにしました。まだアパートなんかも全部ドイツに残っている時に帰国を決めたんです。

松:ちょっと話を戻したいんですが、高校を卒業してなんでドイツに行こうと思われたんですか?それはご両親のアドバイスによるものですか?

フー:いえ、自分で決めたんです。大きな変化って急に決まって、深く考えないまま事態が動くことってあるじゃないですか。ドイツに行ったときもそうだったし、ドイツから戻ってきたときもそうでした。レッドストーンについても何も知らなかったし、中国についても何も知らなかった。

松:当時はレッドストーンの初めての大型開発である「現代城」はできていましたか?ご覧になってどう思われましたか?

フー:住宅部分は出来ていました。オフィス棟はまだでした。いいと思いましたよ。

松:そうすると正式にレッドストーンで働き始めたのは2001年の初めからで、長城の別荘のコーディネーションが最初の仕事だったと。

フー:そうです。ドイツの住居を引き払って北京に戻ってきて、2日目には仕事を始めていました。

松:別荘のお仕事ではどの建築家との協働がもっとも興味深かったですか?全員の仕事の過程を見たわけでしょう?日本人建築家も3人参加しているプロジェクトですね。

フー:全員です。うーん、しかし個別の建築家について答えるのはここでは控えさせてください(笑)。

松:実際別荘のプロジェクトと平行してこの建外SOHOの仕事が始まるわけですよね。

フー:そうです。実は私がレッドストーンに出社して2、3日後に初めて会った日本人が当時山本事務所にいた迫さんでした。当時彼はコンペがとれたあとの初めての北京訪問で来ていたんだと思います。そのとき初めてこの計画のマスタープランを見ました。

松:ではそのころは主に長城の仕事に関わられていて、建外SOHOの方は別の方がご担当だったんですね?

フー:当時の段階で私の建外SOHOへの関わりは、ミーティングに出てフロアプランやマスタープランについて意見を述べる程度でした。長城のプロジェクトのあとは海南島のリゾートの計画に参加して、2002年に建外SOHOに加わることになります。当時はもう建設が始まっていました。

松:今の会社にいらしてもう4年近くになるわけですけれど、お仕事には満足されていますか?中国は人材の移動が激しいですけれど、フーさんは転職の計画などはないんでしょうか?

フー:今の仕事にはとても満足しています。他に移る気もないです。ただ一方で私の人生はいつもあるとき突然決まるんですよ。ばっちり計画するというわけではないです。

松:たとえばより立ち入った質問だけど、あなたは今シングルなわけで、いつまでに結婚したいとかそういう計画は・・・?

フー:それこそ最も計画できないことじゃないですか(笑)。ほかの事は計画できてもこれはまた別のことでしょう。

松:1人の住人としての単純な印象をお聞きしたいです、この住宅に満足していますか?

フー:もちろんです。

松:管理運営上などでも文句なし?

フー:まあね。

松:さっき言っていた廊下で食事する人の問題くらいですか。

フー:あれは管理上というより、それぞれの人の振る舞いの問題だからまた少し違うと思いますよ。それから私はこの計画に深く関わりすぎたためにどこに行っても不適切なところが目に付く、というのは一方ではあります。しかしまあそれはそう問題じゃない。やはりここのマスタープランはすばらしいし、それが実現しているという点ですごいことだと思っています。

松:もし結婚されて子供ができたら、ここはどうされますか?

フー:子供が出来たらここを出て行くと思います。たとえばこのキッチンは今の私にはちょうどいいけれども子供がいるとどうでしょう。今の私は実際朝食しか作らないしこういうカウンター式で十分ですけれど、あとは外食ですしね。子供は他の子供と遊びたがるものだけれど、ここはまだ子供が少ないと思うし。アウトドアライフも必要でしょう。今西側に作っている5期以降が竣工すれば、真ん中に大きな緑地帯が出来るので状況が変わるとは思いますけどね。来年の今頃にはこのへんの周辺環境はものすごく整備されていると思います。ただ今の段階ではまだちょっと子供がいるのを想像するのは難しい。

松:あなたの1日のサイクルを教えてください。起床は何時ですか?

フー:7時半に起きて、9時15分前に家を出ます。9時にはオフィスに着きます。

松:朝食は洋式ですか?中国式?

フー:普段は洋式ですね。ランチはオフィスで取ります。毎日だいたい7時まで働くかな。

松:夕食は外で取られることが多い?

フー:それはばらばらですね。外で食べるか、ここで出前を取ることが多いですね。ここではいろんな場所がありますから。

松:ご両親は北京にいらっしゃるんでしょうけど、このそばじゃないんですか?よく実家に帰りますか?

フー:いえいえ。あんまり訪ねないですね(笑)。

松:ご兄弟は?

フー:妹が1人。1人で住んでます。私たちはちょうどここと北京の反対側のあたりで育ちました。運河沿いで、こことは実は運河でつながってますから、船に乗れば実家に帰れるんですけどね。

松:そうですか、どうもありがとうございました。

ソファでくつろぐフー氏。後ろのベッドの背の壁のグリーンも彼女が内装で手を入れた変更部分である。



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