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インタヴューの前に
  ―日本以上に日本らしい住宅地  
物件データ
インタヴュー1
インタヴュー2
インタヴューを終えて

●インタヴュー2

相手:日本人ご夫婦(光明公寓の住人、ご主人は日本企業勤務で北京駐在、奥様は専業主婦、
          小学校中学年の子供が1人、ともに40歳前後)
場所:光明公寓内のご自宅にて(朝陽区亮馬橋路)
日時:2004年6月27日

光明公寓の中に足を踏み入れて驚いたのはその緑の多さである。さすがに北京でも最も歴史のある戸建公寓だけあって長い時間の間に敷地内の緑がよく育っている。公共部分の樹木は高く育ち、住宅の外壁には蔦がからんで落ち着いた雰囲気を生んでいる。また各住戸が日本で見慣れたミサワホームの戸建てであることも日本人には非常に親近感があると思う。周辺からそれなりに隔絶された安全で高級な住宅地区である割に、こうした見慣れた日本のプレファブ住宅の外観であるところが、やさしい既視感を生んでいるように感じた。さらに実際に住戸内部を見学して驚いたのは、ここではほぼピュアな状態で竣工当時のミサワのプレファブが残っているということである。もう20年近くになるのでもちろん多くの改修が重ねられているのだけれど、非常に大事にメンテナンスされているので、竣工当時の面影をまだ見ることができる。中に入るといろんな造作の古さも目に付くが、きちんと手が入っているのがわかる。設計に携わる者からこういうものを見ると、うらやましいというか嬉しい気分になる。

ここにくるまでの経緯

松:まず最初に、どのようないきさつでご夫婦がこの公寓にお住まいになるようになったというところからお話を伺えますでしょうか。

妻:私たちは、北京は2度目の駐在でして、前は国貿公寓という高層マンションタイプの公寓に住んでいました。

夫:1度目の駐在は94年から97年でした。2回目は2000年の4月からです。前回の駐在と、今回の始めの2年は国貿に住んでいました。2002年の3月までです。その年の4月からこちらに移りましたから、ここにはもう2年住んでいることになります。

松:2年前からということは、お子さんが小学校低学年のときからですね。住居を変更されたこととお子さんの成長は関係あるんでしょうか?

妻:あります。子供は幼稚園はこちらの日系の幼稚園に通っていまして、それから日本人学校にあがりました。国貿には住み慣れていましたし、部屋も洗練されていて高級感があったので快適に暮らしていました。ただ子供が成長するにつれて、同年代のお友達と自由に遊べる環境が必要になってきたのです。国貿には幼稚園児向けの遊具のある公園以外、子どもの遊び場がありませんでした。日本人学校にも光明と比べると距離がありましたし、当時は他に日本人のお子さんがあまりいらっしゃらなかったので、子供が他公寓のお友達と放課後に遊ぶ約束をしてくると、すべてその送り迎えを車でしなくてはなりませんでした。毎回渋滞に巻き込まれますので、この時間がかなりかかりまして、それで日本人の子供の多い公寓に移ろうということで探し始めました。マンションタイプは今まで国貿でずっと住んでいましたので、できれば土のあるところで、子供が自由に自転車に乗れたり、思いきり走り回ることができる環境が好ましいと思いました。さらに、日本人学校に近いというところで絞っていったら、東苑さんと光明さんの2つが最終候補になったのです。

松:最終的に2つの候補からこちらを選ばれた理由はどのようなものだったんでしょうか?東苑というのはすぐおとなりで、丸紅さんが中国企業と合弁で作られた、ここと似たやはり戸建てタイプの公寓ですよね。

妻:子供と仲のいいお友達がこちらに住んでいた事と、タイミング良く好みの部屋が空いた事が大きいと思います。それに東苑さんの住人がほとんど日本人だけなのに対して、こちらは結構他の国の方も住んでいらっしゃるようなので、親も子供も色々な友達が出来るかと思いまして。

松:実際に住まわれていて、ここで外国人と交流されることはありますか?

妻:私は何軒かのお宅と行き来をさせて頂いていますが、それぞれのご家庭によっても違いますね。一般的には日本人どうしのお付き合いが多いです。私たちは北京も2回目ですしある程度慣れてきてはいるのですが、特に北京に赴任されて間もない方は、言葉の面などから、やはり日本人どうしの近所付き合いが中心になるようにお見受けします。

松:こちらに移られてきて、国貿の公寓と比べて具体的にどういう違いがあると思われましたか?あちらはアパートメントタイプで、もっとビジネス街の中にあるし、そもそもオフィスやホテルのコンプレックスの中のアパートなわけですよね。

妻:入居者に関しては、あちらは日本人の入居比率は光明より低かったですね。単身者や子供のいないカップルも多かったですし、住人の国籍もいろいろで都会的なマンションという感じでした。ほとんどが家族連れである光明とは住人層が違いました。それから建物が高層だとどうしても外に出る機会が減るし、子供が遊ぶ場所も外に少しあるにはあるのですが、遊具があって、どちらかというと小さなお子さんたちが遊ぶという感じなので、小学校の子が自由にボール遊びをできる風ではないんですね。それから当時はまだ公寓内にイスラエル大使や韓国大使の公邸も入っていて、なにか行事があると警備がすごく厳重になるんです。ちょっと下に子供が遊びに行くのにも親がついていかなくてはいけない。まあこれは家族ごとで違いますから、必ずしもついていかなくてはいけないということではないですが、そういうこともあって転居を考えました。

松:逆に話を戻すようですが、光明と東苑の2つ以外には候補はありませんでしたか?今の北京ではいろいろ選択肢があるんじゃないでしょうか?

妻:空港の近くにも戸建てタイプの公寓が集まっている場所がありましたし、もちろん市内で、ほかにも日本人が何世帯か入っているところはありました。けれども日本人学校への通学バスが必ずしも出ていなかったり、世帯数が少なくてその方々が引っ越されたらまた同じ状況に戻ってしまうようなことも考えられたので、この2件が最後に残ったんです。

松:引っ越されたタイミングですが、こちらは入居率が高くて空き待ち状態だと聞いています。2年国貿にいらっしゃってからこちらに移られたということですが、住居の契約は毎年更改されるわけですか?

妻:光明さんには、リビングとダイニングが一体化しているCタイプで、なおかつ南向きの棟ということで具体的にこちらの希望をお伝えしてお願いしました。半年前くらいに部屋を見た上で打診をしておいて、引っ越す3−4ヶ月前に具体的な話をしたという感じでした。ちょうど国貿の毎年の契約が切れたタイミングでこちらに空きを確保していただいて引っ越せました。

Cタイプの平面図。延床面積129平米、左から1階、2階、3階。LDが一体化していたのがご夫婦には大事だったようだ。3LDK+ロフトのタイプということになる。増築の場合は1階のLDをキッチンとは反対方向に延長するのが一般的らしい。

夫:私の会社では住宅に関してはこのくらいまでという予算枠があって、その中でここを選びました。会社によっては特定の公寓を社宅として指定しているところもありますし、自分で選ぶようにしているところもあります。いろいろなケースがあると思います。

松:ちなみに国貿とこちらでご予算的にはどれくらい違うものですか?

夫:国貿の方がちょっと高めですね。同じ120平米程度で比べて、ここのCタイプは月3800ドル程度で借りている方が多いと聞いていますし、国貿はそれより1000ドルくらい高いのではないかと思います。

松:その金額には水道、電気代などは含まれるのでしょうか?

妻:支払いの区分も賃料も各戸で少しづつ違うようです。交渉で支払いの区分は変えることができるみたいで、水道代を込みにして払っているとか、入居時に内装を変えてもらった分で賃料が少し違うとか。うちはすべて一括でお願いしていて、国際電話代だけ別に受付のカウンターで払っています。

住環境

松:そうですか。もう少し具体的にここの空間についてお伺いします。実際に住まわれて実感として何か違いを感じられますか?

妻:一軒家なのでこちらの方が落ち着きますね。国貿は街の真ん中だったので夜中もクラクションなどで目が覚める事がよくありましたが、こちらでは本当にぐっすり眠れます。南側が緑地に面しているので静かですし。それから、国貿は日本で例えるなら「六本木ヒルズ」のようなところで、同じ敷地内に5つ星ホテルを始め、高級ブティックからショッピングセンター、もちろん大きなスーパーもあって大変便利ではあるのですが、今思えば緊張して住んでいたような気がします。日本人住人専用のサービスというのも特にありませんでした。そういう意味では、ここは閑静な住宅地のような感じです。公寓のサービスも日本人を意識したものが多いですね。たとえば、公寓から毎日出るショッピングバスはイトーヨーカ堂のような日系のスーパーを中心に運行されていますし、公寓内の小さなスーパーにも、日本人がよく使う野菜や薄切り肉、日本食を揃えてくれていたりと、色々なところで細やかな気遣いを感じます。

夫:日本のTVもここは数チャンネル見られます。NHKのほかに民放BSなんかも見られるので嬉しいです。

妻:TVは大きいみたいです。東苑さんも日本のTVは結構見られるみたいですし。うちは夫がタイガースファンなこともあって、日系チャンネルの充実は重要なポイントです(笑)。

夫:多分、龍頭公寓や酒仙公寓のような北京の日本人が多いマンションはどこも似たようなTV環境だとは思います。

松:お車は普段どうされていますか?子供の通学はスクールバスで奥様が買い物に行こうとすれば公寓からバスも出るわけですよね。ご主人の出勤は?

夫:通勤は会社の車の送迎があります。朝はいつも道が混んでいますので、通勤時間は30分くらいでしょうか。こちらの運転はかなり荒いので事故も多く、自分で運転するのは会社から禁止されています。

松:そうですか、確かにこの住区の中では駐車スペースはあっても自家用車自体は少ないですよね。

妻:車を個人で所有されているのは外国人のお宅か大使館関係の方だと思います。

松:築後20年近く経っている住宅ですが、2年お住まいの間になにか設備的な問題や大きな改修などはありませんでしたか?

妻:確かに古いなあと感じるときはあります、家具の建て付けとか、水道の配管とかですね。そういえば一度2階のシャワーから漏水して2階の壁と下の台所の天井に水が染みてきたことがありましたけれど、それ以外は特に大きな問題はありませんでした。

松:こちらでは基本的な家電もそろっていると伺いましたが、どのくらいがご自分のもので、どのくらいが公寓のものですか?

妻:うちは冷蔵庫は日本から持って来ました。使い慣れていましたので。

松:ああ、あの大きいものですね、それは本格的ですね。

妻:以前の駐在時に使用した公寓備え付けの中国製の冷蔵庫は、収納が少なくて使いづらかったので、船便で日本から運びました。今では随分良くなっている様ですが。

松:造作家具などはいかがですか?こちらに伺ったら、先ほど別に拝見した同じタイプの空きフラットと全く印象が違うので驚きました。いろいろ手を加えられたのではないでしょうか?

妻:大きな変更は床のカーペットでしょうか。もともとは全面フローリングなのですが、子供が家の中を走りまわってすべるので、入居時に階段まですべてカーペットに貼りなおしてもらいました。このダイニングテーブルは光明のものです。ソファは光明のものですがカバーは自分で変えました。コーヒーテーブルとカーテンは備え付けの物は返して自分で買いました。それから1階の壁は2年目の契約更新で全部白く塗りなおしてもらいました。入居時にも塗って頂いたのですが、2年も経つと子供がいることもあって随分汚れたものですから。

夫:うちの場合は少し特殊かもしれません。ここは基本的には身ひとつで茶碗とコップがあれば翌日からでも生活出来る物がすべて備え付けられていますから、改装をまったくされないところも多いはずです。

東芝製(GLACIO)の日本から運んだ冷蔵庫。下に冷凍庫があって引き戸タイプなのでものがたくさん入るという。北京で一度壊れてしまったのだが、それを聞いた同じ公寓内の東芝の方が、自社製品をわざわざこちらまで持ってきて使ってくれていることに感動して日本から部品を取り寄せ、厚意で引き取り補修してくれたとか、そんないい話も聞いた(左)。1階のリビングはベージュのカーペットに白い壁、間接照明でとてもすっきりしていた(右)。

妻:そうですね。あれこれこだわらなければ、家具もすべて揃っています。ただ、こちらの家具は日本に比べると装飾が派手で、サイズも一回り大きくて…。私はコンパクトでシンプルな家具が好きなので、最低限の家具のみを残してあとは公寓に返却しました。部屋が広く見えるように、目線を低くして、使う色も出来る限り抑えるようにしています。

松:収納は足りていますか?モデルルームを拝見したら2階の各個室は日本並みの押入れのようなスペースがありました。これは中国ではめずらしいですよね。

妻:確かに収納はありますが、それでも足りなくて、ご自身で押し入れ用収納ケースやタンスを購入される方が多いですね。これはあくまで私の主観ですが、日本人と中国人だと身の回りの生活用品の量がちがうように思います。どちらが良い悪いという事ではないのですが、日本人のほうが衣類、台所用品、その他の雑貨など、生活用品が多くてブランドなどにこだわりもありますね。中国の友達の家にお邪魔すると、そのシンプルな暮らしぶりにいつも感心させられます。私も日本人の中では物は持たない方だとは思いますが、それでもまだまだ、物に振り回されて暮らしているのだと感じます。

松:冷蔵庫以外の家電についてはいかがですか?

妻:光明公寓は日本人向けの家電がさすがに充実しています。たとえば炊飯器、VCDのプレーヤー、コーヒーメーカー、アイロン、掃除機まで貸してくれますが、こういうものは国貿では自分で買わなくてはいけませんでした。ここで自分でそろえなくてはいけなかったのは変圧器くらいでしょうか。

松:こちらは増築をされていないようですが、そういう話はなかったんでしょうか?

妻:入居時に、南側に部屋を足せますけれどどうしますかと聞かれました。南側に緑地があって拡張が可能だったんです。南側の2つの窓を取り払って増築部分と連結ができるのですが真ん中の壁は壊せないというのでやめました。今はリビングに直接採光がとれて十分快適なので、部屋の奥行きがでると、部屋が暗くなってしまうと思ったものですから。

リビングの南側の壊せない真ん中の壁の部分。梁型が残っているのだが棚をはめこんでスペースを有効活用されていた。

松:こういう増築や、先ほどの更改時の壁の塗り替えですか、そういうものについては別料金がかかるわけですよね。

夫:いえ、最初に決めた家賃の中に含まれます。増築してもまた次に住む人との交渉の中で家賃の設定を変え、そこで月々の家賃から償却していくのだと思います。

松:さっき外を歩いていて増築の現場を見せてもらったんですが、あれも面白いですよね、中国の技術で増築しているんだけれど増築部分ともともとの部分の区別がほとんどつかない。

妻:私も入居してからご近所の増築の様子をずっと見ていたのですが、「3匹のこぶたのれんがの家」みたいに1つ1つレンガを積んでいるんですよね(笑)。

空間の利用

松:こちらは3LDK+ロフトということになるんでしょうけれど、どのようにお使いになっていますか?

妻:うちはよそのお宅とは違って3階のロフトを寝室にしています。1階はこの通りLDKでお風呂もここです。2階の3部屋は、1番広い主寝室を子供部屋にしています。北京の冬の気温は零下になりますので、外で遊ぶことができない分、この部屋ではボールを蹴っても縄跳びをしても文句は言わないようにしています。他の部屋では困りますが…(笑)。もう1つは主人と私のパソコン部屋で、あとの1つはアイさん(お手伝いさん)の仕事部屋です。ここのタイプは3階のロフトが特徴なのですが、ほかのお宅に伺っても物置にしたりアイさんのアイロン部屋にしたりと、あまり積極的に使われていないみたいです。

2階の2室。子供部屋の様子(左)、子供のベッドの下(中)、ベッドは公寓の備え付けを使わずに収納代わりの箱をマットレスの下に敷いていた。奥様によると備品のベッドは大きすぎるとのこと。アイさんの作業室(右)、夏は北向きのアイさんの部屋が一番快適だとか。

松:通常のメンテナンスはどうなっているんでしょうか?先ほど毎年の更新で壁を白く塗り直したとの話でしたが、やはり1年でも退色しますか?

妻:子供がいますので、手垢などでどうしても壁が汚れるのと、暖房が電熱ヒーターなのでそばが黒く焼けるんですね。

夫:この電熱ヒーターは、効きはじめると暖かいのですが、立ち上がりが遅いですね。冷房は各室のクーラーを使っています。

妻:それから、もともとここは電気コンロだったのですが、火力が足りないのでガスに変えてもらいました。

夫:ガスと言ってもインフラが来ていないのでプロパンです。だから切れると交換してもらう。なんだか少し匂いがするときもあって危ないのかなあと思うこともあるのですが(笑)。

松:お風呂がありますよね、これがやっぱり日本人にはありがたいんじゃないかと。ただちょっと小さくないですか?

夫:その代わり深いんですよ。肩までつかれるのでとてもいいです。

妻:国貿はホテル仕様の洋式のバスタブだったので、サイズは大きいのですが、小柄な私は足を伸ばしても向こう側に届かない(笑)。お湯を張ると体が浮いてしまって、両手足をバスの側面に突っ張って体を支えながら入るので落ち着かなくて、どうもお風呂に入った感じがしなかったんです。

夫:それから、ここは脱衣場が別にあって、そこにトイレがあるのも落ち着きます。洋式だとバスタブの脇にすぐトイレでしょう。


ガスコンロに換えられていたキッチン(左)。バスタブは小さかったけど確かに深かった(右)。FRPよりもっと古い材料でできていて、塗装でメンテナンスするそうだ。

松:2階にはシャワーがありますよね。

妻:シャワーはついていない家もあるようですが、主人は朝シャワーを使うので、私たちは入居時につけていただきました。

松:近隣との音はいかがですか?

妻:家が独立しているので隣家の音が気になるということはないですね。車の音もしないしとても静かです。住区のビアガーデンがそばにあって今の季節は少しさわがしいけれど、それも夜10時にはすべて片付けるのでそんなに問題はないです。

夫:ああいうのもなかなかいいものです。50元で食べ放題飲み放題ですよ。

松:そういえばプールもありましたよね。さっきも結構にぎわっていて驚きました。

夫:あれは屋外でしょう。ほかの公寓では屋内のものもあります。夏は屋外の方がいいですが冬は使えない。どっちが好きかということなのでしょうが。

妻:国貿ではホテルのフィットネスに行っていました。

夫:あそこはホテルがメインのコンプレックスなので公寓に住んでいると契約によってはホテルのファシリティを利用できるわけです。ここはホテルもありますが小さくてメインは公寓ですから、それに専用の設備があるということになるわけですね。


近所付き合い


松:近所付き合いなどはいかがですか?

夫:近所付き合いは日本以上かもしれないですね。昨日も3家族くらいでそのビアガーデンでいっしょにビールを飲んでいました。似たような家族構成の家庭が何十もあるわけですから、仲良くなりやすいしお互い誘いやすいんです。やはり特徴的なのは住人の状況が似ているということでしょうか。つまり駐在員で、幼稚園から小中学生くらいの子持ち家族が多い事だと思います。

妻:親が学校に行くことも日本よりも多いかも知れません。学校の役員もまわってきますし、ここではスクールバスの運営は親がします。バスを出すのは公寓ですが、スケジュール表の作成や添乗は保護者が当番制で担当していますので、必然的に親どうしは顔見知りになりますし、日本よりはつながりが密になると思います。

松:住人の方々は普通はどれくらいの期間ここに住むことが多いんでしょうか?

夫:結局駐在の年数になるわけです。3−5年が目処だと思います。一度ここに入るとそのまま帰国まで住む方が多いのではないでしょうか。5年を超えると長い方だと思います。

松:今回国貿からこちらに移られたのはお子さんの環境を考慮してとのことだと理解したんですが、日本人学校は中学までですよね。高校進学の段階になるとどういうことになるんでしょうか?

夫:色々なケースがありますが、やはり日本の高校に入学される方が多いですね。それを機に帰国をされる方が一般的でしょうか。ご主人が駐在途中の場合は、ご家族だけ先行帰国されるという事を時々伺います。

妻:こちらで選ぶ場合は、中国の学校で国際クラスがある高校に入れるか、インターナショナルスクールに行かせるか、その2つの選択肢になるようです。

松:こうしてお話を伺っていると、ここでの生活は大分快適そうでご満足されているようですね。

夫:仕事や日常生活においては海外駐在での苦労も多いのですが、住居という点では北京だから得られる満足なのだと思います。日本でこういうところがあるか、あっても果たしてどれくらいの予算で住むことができるのかわからないですから。

妻:管理もしっかりしていてありがたいです。ここでは、電球が切れても電話一本で交換に来てくれますが、日本にいたときは、もちろん自分で電球を買いに行って取り付けなくてはなりませんでしたから。他のメンテナンスや庭の手入れも行き届いていて、とても感謝しています。それから、緑が目にやさしいというのはここに来て改めて実感しました。この住宅の位置が一番奥で、リビングからはいつも緑が見えます。本当に気持ちが安らぎますね。この緑地にはバスケットコートやサッカー場、テニスコートの他にも孔雀と鹿のいる動物公園があって、真冬にはスケートリンクも出来るので、子どもを育てるには最高の環境だと思います。

夫:その裏にはパットゴルフ場もあります。

妻:この敷地内には子供の塾まであるんです。

公共部分にある子供用の遊戯室(左)、フィットネススタジオ(右)、ほかにもダンスができる部屋や花の教室ができる部屋、子供の自習室があった。塾も同じ建物の中に入っている。

夫:北京は中国の大都市の中で一番住宅に関する費用が高いようです。上海に比べても高いし、運営が行き届いた外国人用の住居の供給量がまだ不足しているのだと思います。

妻:そうですね。今は北京でも、豪華なマンションや戸建てが建ち始め、設備だけを見れば、もっと安い家賃で広くて新しい家を探すのは簡単です。でも、住人のニーズに合った質の高いサービスを提供できる、ハード面とソフト面共に充実した公寓というと、まだまだ限られているのかもしれません。

夫:中国では交渉に柔軟性があります。仕事でもそうですが日本みたいにそれはできませんとか、サービス外ですということがあまりない。追加の要望がある際も、細かいところまで生活をフォローしてもらっています。そういうところは便利ですね。一方で個人的には日本人公寓の運営は大変だと思う。生活文化の違いより、日本人は目に見えないところのサービス面を求めたりするじゃないですか。そういうところは中国人の方にはわかりにくい部分があると思います。

松:なるほど、確かに小さい家具の方が良いとか家具の色を地味にしたい、というのは中国人にしてみたら不思議に思われることかもしれないですね。今日はどうもありがとうございました。

ご夫婦、庭にて。

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