個人的な趣味・嗜好 ■■■  趣味のサッカーとA−CUP
阿部さんはプロフェッサー・アーキテクトで、多忙だと思いますが、休みの日も事務所に出てしまうほうですか。
なるべく日曜日は来ないようにしています。子供と遊んだり、カミさんと遊んだりしようと思っています。

ご自宅はこちらから近いのですか。
ここから車で15分くらいです。

コープ・ヒンメルブラウを除いて、海外で注目している建築家はいますか。
僕は結構海外に行くことが多くていろいろな人と会うんですけれど、昔よりも裾野が広がっているというか、いろいろなタイプの建築家がいると思います。特に40代くらいの世代に注目しています。フランスだったらペリフェリーク、ラカトン&ヴァサール、スペインだったらFOA、マンシヤ&チノンなどなど。この間南米に行ったときにも何人か面白い人たちに会いました。特にアルゼンチンのマルセル・ヴィアは愉快でしたね。オーストラリアにもシ
ョーン・ゴッツェル、ミニフィ&ニクソンなど面白い建築家がいっぱい出ています。

阿部さんの現在の趣味は何ですか。
キャンプをやったり、あとはA-CUPというサッカー大会に参加したりしています。A-CUPをご存知ですか。すごいイベントですよ。もう3年目になりますが、去年で600人以上、24チームです。それぞれ伊東豊雄事務所とか、隈研吾事務所とか、ACみかんとか、いろいろな建築家のチームがあってすごく盛り上がります。

試合はどこでやるのですか。
去年は東大のグランドを使ってやりました。今年は筑波
大学でやります。
キャンプ キャンプ
キャンプを楽しむ阿部さん

それは健全ですね。
そこに行くと40代くらいまでの雑誌を賑わせている建築家はみんないますよ。1日トーナメントでサッカーをやって、優勝を決めています。

いつ頃A-CUPは開催されているのですか。
毎年7月の第1週目の日曜日に開催されることが決まっていて、今年は7月3日です。アディダスがスポンサーをする、世界で一番小さい大会だと思います(笑い)。

Aカップ Aカップ
A-CUP

フランク・ロイド・ライト 遠藤新
フランク
・ロイド・ライト

遠藤新


古典や近代の建築や建築家で、影響を受けたものはありますか。
僕は日本にいるときに建築を直接教えてくれるデザ
イナーの先生がいなかったので、本ばかり見ていました。やはり最初はフランク・ロイド・ライトなどを見るじゃないですか。仙台に遠藤新さんのつくった住宅がオリジナルのまま1件だけ残っています。遠藤新さんの住宅を見て、ライトの住宅を見ると、日本の住宅の環境とアメリカの住宅の環境が違うということがよくわかります。日本とアメリカの都市に対する建築の姿というか、建ち様が違うとすごく感じました。

グッゲンハイム美術館
グッゲンハイム美術館

なるほど。
それがひとつです。それと雑誌で「グッゲンハイム美術館」を見たときに、こんなことやっていいのと思いました。これくらいやっていいのなら楽しそうだと思いました。

今でもすごい作品ですよね。
当時、勉強を始めようと思ったけれど、先生がいないのでとりあえず本で勉強しようと。そのときに今の人ではなくて、亡くなっていて評価が確立している人から勉強しようと思いました。但しあまり昔の人だと社会状況が違い過ぎますから。「自由学園」を見に行って
、食堂に入ったときには感動しましたね。その後にコルビュジエやミースの面白さがだんだんわかってきました。

では世界で一番好きな都市空間はどこですか。
難しい質問ですね。好きと言われれば、当り前ですけれど僕はロサンゼルスに住んでいたから、ロサンゼルスのヴェニス界隈は好きですね。いわゆる海岸線があって、低層で、路地はゴチャゴチャしているけれど、お店と住居が混ざっているようなところです。もちろん気候も重要で、短パンで歩けるというところも好きです。先日、南米のヴァルパラッソへ行ってきました。世界遺産になっていて、都市が全部波トタンでできています。あれもかなり感動しました。海に山が迫っていて、その山に住居が密集していて、そのランドスケープに合わせて通りが切ってあって、その通りのシークエンスがすごくきれいなんです。遠くから見るとコロニアル・スタイルの瀟洒な建物が、近くに行くと色を塗った波トタンだったりして。街がいろいろな色に染められていて、とても楽しいところでした。
ヴェニス
ヴェニス

ヴァルパラッソ ヴァルパラッソ

最近体験したことで人に勧めたいことは何かありますか。
ルイス・バラガン自邸
ルイス・バラガン自邸

「ルイス・バラガン自邸」
に行って感動してしまいました。あそこはすごくいいですね。雑誌で見ると壁を黄色やピンク色に塗っているじゃないですか。僕らからするとあれは土着の色味だと思っていたんですけれど、行ったことであれは光を描いていたんだとわかりました。角を曲った瞬間に黄色の壁がありますが、黄色に光が当たった状態を描いているんです。だから曲った瞬間に光があるように見えます。精神的な空間ですから、今の時代の住宅にふさわしいのかわかりませんけれど。思わず「何歳でつくったものですか」と聞いてしまいました。「42歳のときだ」と言われて、ヤバイ、僕と同じ年だと思いましたよ(笑い)。

バラガンはヨーゼフ・アルバースの色彩についてずっと研究していたそうです。僕も何度か行きましたが、阿部さんのように光が当たっているシーンを描いていると考えたことはありませんでした。
僕はそう思ったというだけですよ。あのピンク色もきっと夕日の色が当たった瞬間を定着したのかなと思いました。この家を歩いていてバラガンは建築要素に囲まれた空間そのものを濃厚にデザインしたことが実感できて、素晴らしいと思いました。

サヴォア邸
サヴォア邸

それはお勧めの建築スポットですね。
コルビュジエの「サヴォア邸」などへも行きましたが、それよりもバラガンのほうが琴線には触れましたね。メキシコ・シティへ行ったら絶対に見るべきです。

最後に阿部さんはお酒を召し上がりますか。どんなお酒が好きですか。
僕は焼酎派かもしれません。熊本でお湯割りが美味しいと教わりましたので。でも、ワインもよく飲みますよ。

今日は楽しいお話をありがとうございました。